夜を歩いた分だけ、美大生、19で覚えたジョーク。

いま乳白色の中にいて、それがなにであるか分からない段階から、ようやく霧であることがわかった僕ですが、すこしでもはやく上手くなりたくてカメラを担いで、なんだか久々に真剣になってる自分がいて、そしてそんな自分をどこからか見てくれているひともいるわけで、早起きは三文の得ではないのだけれど、やはり一度ならず二度美味しいのです。

でもさすがに毎日仕事してると疲れると思ったので土曜日は完休。筋トレもやめておいた。その代わり買い物。代官山でA.P.C.ジーンズと有楽町阪急でギャルソンのスニーカーと財布を買った。ああ、いい気分転換。いいモノを見るっていうのは本当にいいものです。

そして帰りの電車の中で思ったことといえば、あれだけアイデンティティーがほしいとおもっていたのに、いざ会社はいって、そこで特定のスキルを必要とする仕事をあたえられ、「ああ、これなのかなアイデンティティーって」と思うと、案外たいしたことねーなアイデンティティーってば。とおもうのです。結局アイデンティティーって言うのは無いものねだり。自分らしさなんていうのはないものねだり。結局そんなもの、たいした問題ではないの。思うに、個人個人が楽しく好きなことやれて、それでいて自負心を持てて、なおかつ自分が納得できる範囲の金が発生していれば、オールオッケー。すくなくともおれは現状に70%は満足しています。

そんじゃあ残りの30%なにが必要かといえば、現実的な諸問題は伏せておいて、問題はもっとクリエイティブ漬けになりたい。何かを制作していたい。ということ。現状でも十分させてもらっているけど、まだ、もうすこしだけ手を伸ばしたい。何かとはまだわからないけれど、まだ、もう少し僕はできるはず。強欲ですねGOUYOKUですね。でもそう思います。まだ早いから今の仕事をちゃんとやってからそうしたい。

そして(全く手をつけていない)mixiをひさびさにみて、高校時代の同じクラスの美大に進学した女の子を発見し(どうやら多摩美の4年のようです)ああ、すげーなー、おれも早く気づけばよかったなー。って。今はディスプレイデザインをしているようで、実際に日本橋高島屋のとある店舗の担当をしてらっしゃる。すごい。デザインは完全に自分ひとりの力でなしうる。すげー。しかも彼女のページに記載されているアーティストやらなんやらは、全く未知の領域。コミュニティー登録で唯一ついていけるのはマルジェラとフセインチャラヤンくらい。美大生って言うのはすごいんだね。同じ4年を生きているはずなのに、密度が違う。違いすぎる。

うむ。何か好きなことをやれている人っていうのは美しいのですね。とっても。インターネット上のそんなページからもまぶしすぎる。そういう人と僕はどれだけ知り合えているのだろう?そんなことを考えてしまう。考えてしまう。指折りはしなかったけれど。

そういえばむかしは深夜よく歩いたよな。自分探ししてたとき。夜を歩いた分だけ大人になれる。そんなこと思ってた。誰もいないまち(実際にはそんなことはないのだけど)を歩いて、自分だけが何か違うもののように思えて、ほくそえんで、たまに涼しい顔してみたりして。でも、でも、それは今思えば、「その当時は必要だった逃げ道」なだけで、結局必要だったのは、ちゃんと目の前にあるつり橋を渡ることだった。結構左右にゆれて、そこの見えないつり橋。怖い。でも誰にでもあるつり橋。誰かのつり橋はかなり脆いかもしれないし、他の誰かのは鉄筋コンクリでガチガチかもしれない。でもだれにでもあるつり橋。渡るか座り込むか祝うか呪うかはそれぞれ。

そんなことを思いながら、BGMはスーパーカーな気分。長くなったけど、要するに言いたいことはあんまり多くなくて、自分探しとかアイデンティティー・ロストとか自分を守るためだけのプライドなんかばっかり気にしてるんじゃなくて現実の今目の前にあるつり橋渡れよってこと。橋の先にビジョンがあるなら。数枚の小銭の代償に死んだ時間を得ている場合なら。クソくだらないアミューズメントしてるなら。