終電のあとに、とおくで地震、見てるだけ深夜。

とおくで地震があった。なんだかとおすぎて、こころがない。ぼんやりTVで眺めて。泣き叫ぶひとや、燃え上がる炎、割れる道路を、すべてまったく、ぼんやりTVで眺めて。チカチカとひかる光源を眺め、目を細め、生あくび。ああ、地震があった。あったんだ。どうやらあったらしい。あったみたい。たしか前にも津波があったところ…だったよね。ああ、そう。たしか、そうだ。ああ、そうだったよね。うん…。たぶん。きっと。

終電のあとに、地震はゆらゆらたよりなく、ぷろぷろと浮かんで、目の前あっという間に通り過ぎてゆく。かのように。むしろともだちとの約束をドタキャンしてしまったことを申し訳なく思いながら。地震があったという頼りない実感を、手のひらに浮かべてるだけ。握りそこねているだけ。乗せるかどうかさえ考えないだけ。

ああ!なんなんだ!この他人事さ加減!それではいけないはずなのに!それではいけないはずなのに!