IKIRU*IKASU

 言葉が意味を失い、暴力が喘ぎはじめる。酷く肉欲的な音が、理性の裂け目から聞こえ始める。まるで暴力が退屈しすぎてしまっているように。その瞬間から、一時的にせよ、その場に人間は誰一人としていなくなる。

 「僕はフェアでありたいと思う。僕はライバルである前に、友達なんだ」

 何を思う。何を思う。今、君はひどい暴力に巻き込まれていながら、何を思う。僕にはそのつらさが分かる。僕も一度同じものに巻き込まれているから、よく分かるんだ。本当だ。賭けてもいい。

 悲しい遠心力に振り回されて、今君は生きている。悲しい求心力に突き動かされて、今君は死のうとしている。君はその間で錐揉みにされている。空気は薄い。想像以上に薄い。少しでも余計な身動きをすれば、すぐに呼吸がおぼつかなくなる。

 それでも君は生きなければならない。僕は・君に・生きて・欲しい。

 「君は十分過ぎるほど十分に言葉を選ばなければならない。そして足元を確かめなければならない。もう君は21にもなる。そろそろ気づいてもいい頃だ。」