ZETSUBOU*HARETSU

 ささやかな期待が緩やかな放物線を描きひゅるるると墜落していく。一つ、また一つ、底に墜落する。何を期待していたわけではない。でもやはり音もなく破裂し、だらだらと血を流している。血はゆっくりとその流れを増す。とぷとぷとした音ともに谷底をゆったりと流れ覆い尽くす。

 何を思えばいい? そんな絶望に俺は何を思えばいい?

 俺は親指を加えたままそれを見ている。じっと谷底を見ている。静かだ、恐ろしい程の静けさが俺の耳をつんざく。足がじりじりと動く。震えているのか? 違う。求めているのだ! 俺はあれを求めている。何故だ、俺は何故あれを求めている?

 その時だった。俺の耳を圧殺していた静寂が、鼓膜を突き破り、俺のからだ全てを支配したのは。俺はみるみる内に縮み、とうとう赤茶けた猿のようになった。俺は涙を流し、自らの顔を川底に見る。そしてやはり、そのまま破裂を迎えた。