イージーカム、愛の泉、イージーゴー。

r-mutt2007-09-07

フリー全盛期である。

社会や就業の形態が多様化するにつれて、フリーランスというものが脚光を浴びてきた。(建前上は)どこの組織にも属すことなく、自分で仕事をとってきて、それを見返りに飯を食う。フリーターだってある種のフリーランスであると思う。ただその職種が単純労働に限定「されがち」という点を忘れてはいけないけれど。フリーランスから生まれる優秀で突飛な作品が注目を集めて始めているのは最早疑いようもない事実だ。気になったCMやキャンペーンを雑誌やWEBなんかでチェックすると、たいてい会社名ではなく個人名が出てくる。もちろん、彼ら/彼女らは自前の事務所を構えているのだけれど、それは看板上の問題であって、やはり個人の活動というのが前面に押し出た形だ。

かたや僕は会社に寄生させていただいて、毎月だいたい決まった給料をいただいている。外資でも不安定な職でもないので、望まない限りクビというのはほとんど有り得ない。でも僕にとってはそんなファイナンシャルなことは本当はどうでもいいことで、フリーではなく会社に入って本当に良かったなあと思うのは仲間意識、協働意識のある上下関係が育まれるところだ。もちろん、ひとがたくさん集まったら、あいつだめだわ、なんて人ができるのは仕方ないけど、たいていの人たちはいい人だし、尊敬できるひとたちだ。幸いなことに僕はそういう偉大な先輩方にお世話になることができている。そんな人たちの中でチームで大きなものをつくるっていう気持ちや感動をいだくことができるのは幸せなことだと思う。そしてプライベートでの付き合いもあるともっと楽しい。そして人生というのはそういう風なものだと思う。もちろんフリーの現場に協働意識がないなんてことを言うつもりはさらさらない。

金城一紀の『映画篇』のラストパート「愛の泉」はお薦めです。