叫び、でも何も知らない僕は、ただガムシャラなわけで。

昨日19時30分頃、ときわ台駅で警察官と女性が電車にはねられる悲しい事件があった。パニックの女性を助けようと踏切内に立ち入った警察官が急行電車にはねられるというものだった。報道ステーションで、事故直後の現場の状況が流された。警察官の同僚だろうと思う、「宮本!しっかりしろ!宮本!」叫び声が聞こえる。…ああすげえ恥ずかしい。事件を報道することだけに集中していた自分が腹が立つ。いい画が撮れた、ロング撮れた、インタビュー撮れた、オンエア間に合った、撮影ただそれだけに終始していた自分に対してなんなんだよちくしょう死なないで頼むから死なないで宮本さん。俺は被害者そしてその周りの人々の悲しみに目を向ける余裕さえなかった。

じゃあ事件を伝えなくて良かったのか、といえばもちろんノーだ。悲しいからはいやめます撮りたくないです、なんていうのはあり得ない。今回これを報道したことによって、駅に関する事故防止策の不備が浮かび上がっているからだ。赤外線センサー、非常停止ボタン。これを機会に少しでも改善されてほしい。もし改善されたならおれも嬉しい。

けれど、けれどだ、おれはただ撮るだけ1分なら1分、5分なら5分のコーナーを埋めるだけの画を切り取る撮影マシーンになるのだけはダメなんだ。ダメだ。たとえ熱中していても、没頭しなくてはならなくても頭のどこかで、被害者の悲しみを考えないといけないんだ。100人被害者がいたら、100通りの人生と100通りの死がある。それは数字や記録じゃない。