なにアンタそれ、児童書じゃないの、早く置いてきて。

あっけなく途切れてしまうような関係が世の中には山ほどあって、それでもみんなそんな細い糸握り締めて、分かってはいてもぬかるみに突っ込んでしまうような気持ちで生きていて、それでなくても時間ばかりが過ぎていて、歳をとって、それでも好きでもない人とキスしてセックスして、窓の無い部屋のベッドの上でため息ついて、セミの抜け殻みたいな気持ちになって、いい加減学習しなよ私とか思って、声にならない声上げて、美しいってなんだろう、とかふと考えてしまって、答えなんて見つかるはずもなくて、生温いシーツから抜け出して、閉じられた窓をすぅーとスライドさせると、朝が来てて、今の主役はまさに太陽なはずなのに、またすぐ夜が来るな、って思えて、差し込む光に浮かぶティッシュがあーいやだいやだ、思わず顔を確かめて、ベトベトが無いことを確かめて一安心、化粧落とさなきゃと思って、いびき立てて眠る男のケツを蹴るともぞもぞと動き出して、でも結局また寝てて、誰だよお前死んじゃえよ、って言いながら自己嫌悪で、水が枯れた蛇口のような気分で着替えて飛び出していくよ、さっと、ふわっと、まるで鳥みたいだ、羽がもげた鳥みたいだ。