MINOR CORD KARA KAERENAI

art-schoolの音楽がこんなに素晴らしいとは思わなかった。そもそもMDの山の中にあったはずなのに、面倒くさがってそれを聞こうとはしていなかった。はー。

思い出を無理に捨てることないんじゃない? 無理にすがってる必要もないけど。
思い出は思い出。

マイナーコードから帰れない

なあ、俺よ。マイナーコードから帰ってこられないんだよ。どんなに転調しようとしてもマイナーコードから帰ってこられないんだよ。どうしたって言うんだよ。

新しい小説を書こうと思う。きっと。
映画も撮りたい。

蟹がさっきからうろちょろしてるわけよ。うろちょろ、うろちょろ。
さっきから蟹ばかりをみていたわけよ。むかしむかしから。
蟹って言ってもどうせ、おまえらにゃわからんかもしらんけど、
蟹ってよ、あいつら横にしかうごけねえんだ。あいつら水平に動き続けるんだ。
どこまでもどこまでも水平にしか動けねえんだよなあ。
なあ、水平にしか動けねえとしたらばよ、そうだ。そうなんだよ。
動いてねえのと一緒なのな。結局ずっと同じところにばかりいるんだわな。
それどころかよ、かえって疲れちまっていたりしてな。阿呆みたいだわな。

そんでよ、さっきの蟹はよくいる蟹だった。石ころ投げつけりゃ、まあ当たっちまうようなどこにでもいる蟹だ。
その蟹はよ、やっぱり懐を押さえてるんだ。こう、肺が痛むんです、今月もね、いいんですそんなんじゃないんです、たいしたことはないんです、もう慣れたことなんです、みたいにな。ちょっと卑屈によう、背中丸めてよ。そしたら案の定、すっかり見つけちまうのな。
あいつらもうすげえんだよ、その辺の嗅覚がよ。本人はそんなつもりじゃなくっていうかもしれんけど、実際はそんな簡単に見つけられるようなものじゃないのな。
むしろこれは長く見ていたものとして言えることだがな、見つけようと思って見つけられるもんじゃないのよ。見つけたくないから見つけちまうものなのさ。
まあ、要するにその蟹っちは見つけたのよ、そこで、その場合は紙袋を。
もう想像するだけでこっちまでじんじんしちまうね。こう懐が一瞬ヒヤッとしてぐっと突き上げてくるような火照り。いいねいいねこっちまで感じちまうね。そういうの好きだね、俺は好きだね。

まあ、そいつはさ、普通に歩いていたわけよ。懐を押さえながらさ。これ以上少しだって落とすわけには行かないんですよ、社会の旦那! ってな具合にな。普段俯いてばかりいやがるからそういうところに目が行くのかもしれんな。蟹は足元の右方向によ、白のちらつきを感じるわけだな。その隙間の奥の方に白のちらつきを感じるわけよ。

Requiem for Innocence

Requiem for Innocence